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総額ではなく単価で、経過年数ではなく物理的耐用年数で、駅距離ではなく趣味で選択する

 

賢い消費者はモノを購入する際、総額ではなく頭の中で単価計算をして、単価の低いものから選択する。スーパーで食材や調味料を購入するさいに暗算するのだ。ガソリンなどもともと単価表示されているものについては、単価の安いスタンドを選択すればよい。

 

不動産を購入するさいの思考でやりがちなのが、総額で判断してしまうということである。預貯金、親からの支援、金融機関からの融資等で総額いくらまでなら可能という、総額から思考をスタートしてしまうため、総額判断になりがちである。

 

不動産も他の財同様に、単価に割り戻して判断すると、間違いがすくなくなる。一般的に不動産の価格は、単価と総額の関係が出やすい財といえる。つまり、総額が低くなると単価が高くなり、総額が高くなると単価が低くなる傾向が強いのである。

単価でみると5万円/㎡、率にして25%も違うのに、総額が安い物件を選択してしまうのである。確かに、購入後の固都税を考慮すれば、余計なサイズは必要ないのかもしれないが、面積が小さくなればなる程、単価は比例して高くなるということを知ったうえで購入すべきだ。

 

同じ面積でも単価に違いが生じるケースがある。土地の形状による単価の違いである。一般的に配棟計画、潰れ地の割合などから、整形地に比べて形状不整形の敷地は単価が低くなる。地方ではあまりみないが、地価の高い都心部においては総額をおさえるために、小さな敷地を更に細かく切り刻んで区画割りをするため、不整形な敷地が多くなっている。

しかし、形状不整形にはメリットもある。まず、固定資産税が整形地に比べて安くなる。これは陰地割合が大きくなるため、固定資産税の財産評価が低くなる為である。陰地の詳細については「かげ地割合をサクッと調べる方法」を参照。

 

所有している時のランニングコストだけではなく、相続時の財産評価も上記同様、陰地割合が高くなるほど、相続税は低くなるのである。

同じ総額であれば、面積の小さい整形地よりも、面積の大きい形状不整形地を選択するのもありだ。購入時のイニシャルコストと所有時のランニングコスト、相続時の税金があまり変わらないからである。デッドスペースを家庭菜園、自動販売機の設置等活用することもできるからである。

 

法定耐用年数で判断される建物

 

金融機関の融資の判断、不動産業者の建物積算価格などに国税庁の法定耐用年数が利用されるケースが多い。これは、建物の経済的耐用年数の判断が難しく、金融機関の担保評価や不動産の査定にシステムが導入されている事が一般的であり、また、担当者により個別の判断が恣意的に介在しない為にも一律の数値が必要なことから、法定耐用年数が利用されている。

 

木造の一般住宅であれば法定耐用年数は22年である。つまり、22年で市場価値は自動的にゼロ円になってしまう可能性がある。適切な維持管理、定期的な修繕により、現在の厳しい建築基準法に準拠した建物であれば、実際の物理的耐用年数は30年以上あるとみるのが普通である。

 

逆にいえば、木造建物であれば、経過年数22年以上の中古物件を探すべきである。その中から、維持管理がしっかりされているものが、市場価値ゼロ円として販売されているからだ。物理的耐用年数は十分にあるので、価値あるものを市場価値ゼロで購入できるからである。

 

通勤しない者にとって、駅距離は効用ではない

 

不動産を評価する際、最も重視さている要素が駅距離である。何故か、通勤通学に優位という条件が重要視されているのである。徒歩20分以上(距離にして1600m以上)はバス便圏扱いとなり、地価相場が一段と低くなる傾向が強い。

 

コロナ以降テレワークが普及し、必要な時以外は出社しない働き方が定着した会社も増加した。システムエンジニアや営業職などは、会社にいなくとも、ノートパソコンとスマートフォンがあれば、自宅やスタバ、図書館を事務所がわりにしても十分働けることが再認識されたのではないか。

 

不動産コストを圧縮して自由を手に入れるには」でも触れたが、高額な事務所賃料を負担することなく、更に生産性も上がるのであれば、学校のように同じ時間に出社して、同じ時間に退社する必要もない。そもそも、個々人がそれぞれのやり方で生産性を確保できるのであれば、会社だろうが図書館だろうが、どっちでもよいでのである。世代交代がすすめばすすむほどに、このような考え方が支配的となることが予想される。

 

これからは、自分の趣味にあわせて、居住地を選択すべきである。海が好きなら海の近くで、山が好きなら山の麓で、寒いのが嫌いなら沖縄や小笠原村でと。また、家族構成にあわせて住み替えを繰り返すのが自然である。単身者の時、夫婦二人の時、子供が小さい時、高齢になった時、それぞれのフェイズ毎に最適な立地があるからだ。また、このような声を反映できない会社に固執することもないのである。