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マンション一室の積算価格の求め方

 

マンション一室の査定において、原価法から求める積算価格が参考になるケースがあります。

 

ケース① 賃貸に供している収益物件でもなく、対象マンションや周辺のマンションで賃貸事例が収集できない。

 

ケース② 対象マンション及びその周辺でマンションの取引事例が収集できない。

 

上記のようなケースでは、収益価格や比準価格からマンションの査定をするのが困難です。そこで、原価法によりアプローチします。

Step1 マンション一棟の土地価格を求める

 

前面道路の路線価や近隣の地価公示、地価調査、田舎で近隣にこれらの情報がない場合は、固定資産税の標準宅地や路線価の情報を参考にします。全国地価マップというサイトから調査できます。

 

(計算例)

 

相続税路線価 ÷ 0.8 × 土地面積 = マンションの土地価格

 

300,000円/㎡ ÷ 0.8 × 1000㎡ = 375,000,000円

Step2 マンション一棟の建物価格を求める

 

建物単価、時点修正率の求め方はこのブログ「自力で建物を査定する」が参考になります。

 

(計算例)

 

建物単価 × 建物延床面積 × 時点修正率※ = マンションの建物価格

※(法定耐用年数-経過年数)÷法定耐用年数

 

300,000円/㎡ × 2700㎡ × {(47年 - 15年) ÷ 47年} ≒ 551,000,000円 

Step3 配分率を求める

 

マンションの価値は一般的に上に行くほど、端に行くほど、高くなる傾向があります。最上階の南東角部屋が最も高くなる傾向にあります。

 

マンション一棟の中で、どの場所に位置するかを積算価格に反映する必要があるため、配分率を求める必要があります。

 

マンションの縦に着目し、評点化したものを階層別効用比率といいます。横に着目し、評点化したものを位置別効用比率といいます。

 

下記の手順で、階層別効用比率と位置別効用比率から配分率を求めます。

 

Step3 積算価格を求める

 

(土地価格 + 建物価格) × 配分率 = 積算価格

 

(375,000,000円 + 550,000,000円) × 0.03912 ≒ 36,200,000円