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再開発ビルの共有状態を解消するための対価について

市街地再開発事業等により、従前地の地権者が共同してビルを建設し、地権者が共同所有している再開発ビルがあります。

 

権利形態は共有、区分所有等がありますが、将来の相続等を通じて権利関係が複雑になることや、市場価値という観点からは共有状態を解消するケースもあります。

 

共有状態を解消するためには、再開発ビルを第三者に売却するか、特定の権利者が他の権利者の持分を購入する必要があります。

〇A・B共有のビルを第三者Cが購入するケース

仲介手数料

A・Bの各持分を第三者のCが購入する場合は、マンションの一室を売買するのと同様ですから、取引価格は正常価格になります。

 

では、特定の権利者が他の権利者の持分を購入することで、単独所有となる場合の対価も、合理的な市場で形成される正常価格で取引するべきでしょうか?

〇Aの共有持分を共有者Bが購入するケース

印紙税

Aの持分を共有者のBが購入すると、共有状態が解消されてBの単独所有となります。

 

A・Bの共有持分の正常価格とBが単独所有した場合の正常価格との間には以下のような式が成立します。

 

 

(Aの共有持分の正常価格 + Bの共有持分の正常価格) < Bの単独所有の正常価格

 

 

Bが単独所有することにより、共有状態が解消されるため、市場価値の増分が認められるためです。

 

Aの共有持分を購入するためには、Aの価格に、増分価値の一定割合を加算する必要があります。

 

 

Bの単独所有の正常価格 - (Aの共有持分の正常価格 + Bの共有持分の正常価格) = 増分価値

 

Aの限定価格:Aの共有持分の正常価格 + (増分価値 × 割合)

 

 

この価格は、再開発ビルの共有者という限られた当事者間の市場でのみ成立するため、限定価格といいます。

 

増分価値に割合を乗じるのは、増分価値の全てがAの共有持分の正常価格に配分されないようにするためです。

 

全てが配分されてしまうと取引がAにとってのみ有意となり、公平の観点からも問題があります。

 

増分価値の配分方法としては、折半法、面積による方法、単価比、総額比等があります。

 

一般的に用いられる総額比を例にすると計算式は下記のとおりになります。

 

 

Aの共有持分の正常価格:4000万円(62.5%)

 

Bの共有持分の正常価格:3000万円(37.5%)

 

合計:8000万円(100%)

 

Aの単独所有の正常価格:10000万円

 

増分価値:10000万円-(4000万円+4000万円)=2000万円

 

A持分に対する配分額:2000万円(増分価値)×62.5%(配分率)=1250万円

 

Aの限定価格:4000万円+1250万円=5250万円

 

 

単独所有できるBにとって、Aの価値は正常価格4000万円を上回る5250万円の価値があるため、Aは決して正常価格の4000万円で売却することだけは避けたいところです。

 

実際のマーケットでは、常に鑑定評価書が介在しているとはいえないため、正常価格での取引になっているケースも想定されます。