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中古マンションの査定

 

自宅として不動産の購入を検討する際、戸建にするかマンションにするかを検討することになります。

マンションは容積率の高い駅至近に建てられることが多いため、交通利便性を求める場合有力な候補となります。

 

マンションは登記法上「区分所有建物」といいます。

権利の対象は、区分所有という名のとおり、一棟の中の専有部分(○○号室)、エントランスや階段などの共有部分の共有持分、土地の共有持分である敷地利用権になります。

※建物の区分所有等に関する法律が昭和58年に改正される以前は、敷地の権利を分離して処分することができました。改正後は敷地の分離処分が禁止されています。昭和58年の改正を境にして、新法マンション、旧法マンションなどといいます。

 

土地の権利関係も戸建て住宅同様に、所有権、借地権、定期借地権があります。

 

借地権付マンションは、土地の公租公課は発生しませんが、地主に地代を支払う必要があります。

借地権といえども、借地借家法により権利は物件化していますので、簡単に明渡しを要求されるようなことはないので安心して購入できます。

 

定期借地権付マンションは借地借家法の改正により平成4年に新しくできた権利形態です。

一定期間(50年)したら、建物を取り壊して、更地にして地主に返還する契約関係になっています。

期間限定ですので、所有権付マンションに比べると、販売価格は低くなります。イメージとしては70~80%程度です。

都内の一等地であれば、通常は億ションのものが7000万円程度で購入できるということもあり、競争倍率が高くなるケースもあります。将来的に相続を意識しない世帯などには向いています。

〇マンションを購入するときには注意が必要

 

マンションの所有者は必ずマンション管理組合の組合員になります。

マンションの運営方法を取り決めた マンション管理規約に基づき、管理組合が維持管理していかなければなりません。

 

管理組合は定期的に理事会や総会を開き、運営方法の取り決めや理事の選任などを行います。

マンション毎に管理規約は異なるため、あらかじめ、購入検討しているマンションの管理規約は熟知しておく必要があります。コストカットを重視して、清掃などの維持管理業務を自主管理している場合もあり、組合員に負担が生じているケースもあります。また、管理組合があっても、まともに機能していない場合は維持管理が杜撰になっているかもしれません。

マンションは管理を買えといわれる所以です。

〇査定の方法

 

中古マンションの査定は、他の不動産よりは簡単です。

総戸数にもよりますが、数百個程度あれば、どこかの部屋が売りに出ている可能性が高いからです。

 

マンション価格は低層階ほど安く、高層階に行くほど高くなります。

また、中間室より角部屋が高く、ベランダは南に向いていると高くなります。

細かい話になると、人の往来の多いエレベータの近くや、階下が駐車場になっていて冷気や騒音が気に なる場所などは安くなる傾向にあります。

 

新築分譲時のように、全戸の価格表があるわけではないので、相対的な比較ができないのがネックです。

過去の成約事例が収集できるような立場であれば一棟全体の標準的な坪単価を算出することで、各住戸の価格を推定できます。

中古マンションの査定

 

5階建のマンションがあるとします。

成約価格の相場が200~250万円/坪程度だとします。

そうなると、一棟の中で標準的な位置(3階・中部屋)にある居室は225万円/坪程度だと推定できます。

標準的な位置にある居室の価格が分かれば、後はプラスマイナスして調整するだけです。

階層が1階下であれば-3%、角室だから+5%といった具合です。

これらの調整に要する格差率は、周辺の分譲マンションの価格表などが手に入れば参考になります。

 

土地であれば、地価公示や路線価などの標準的な価格の指標がありますが、

マンションに関してはこの指標がありません

公的評価にマンションも追加して頂けると、実務をしている者としてはとても有益な情報になります。

〇ケーススタディ

 

小金井市小金井駅徒歩5分にある、築15年の分譲マンション。

鉄筋コンクリート造10階建、総戸数50戸、成約価格ベースの相場は坪150~200万円

販売住戸は最上階5階の南東角部屋70㎡、ルーフバルコニー付

販売価格は4690万円、現状渡。

 

標準戸 3階・中間室・南開口・70㎡

標準戸の坪単価 175万円

 

〈個別格差率〉

階層5階               :+3

最上階                 :+3

南東角室                :+5

ルーフバルコニー :5

相乗積                    : 1.17 (1.03 × 1.03 × 1.05 × 1.05)

 

標準戸(坪単価) ×  個別格差率 × 床面積(坪) × 査定額(万円)

 

175万円/坪  ×  1.17  ×  21.18  ≒  4,337万円

 

現在の販売価格4690万円はやや強気な設定のようです。

 

販売価格はあくまで売希望価格ですので、

購入する立場であれば査定額近辺まで値下げ交渉をしてみましょう。

売る立場であれば、査定額以上で売りたいところです。