将来のことわ誰にも分からないのが真実です。
AIやデータマイニングなどの技術の進歩は著しいですが、リソースが過去のデータに依存しているため、過去はこうだったから、今後もこうなるだろうという推測の域を出ないような気がします。
不動産の価格や賃料も同様です。
しかし、近い将来であれば合理的かつ簡単な方法で推測することができます。長期的な予測になると、地域の変化や経済的な変動などのマクロ的な要因を排除できなくなるためです。
相続対策として、所有している土地にアパートの建設を予定しているとしましょう。
場所は東京都世田谷区、京王線桜ケ丘駅から徒歩10分にある50坪の土地です。
ここに2階建、軽量鉄骨造のアパートの建築をハウスメーカーから提案されているという前提です。
土地の所有者は決断に迷っています。
ハウスメーカーの営業マンの説明通り、この土地にアパートを建設すれば、土地の評価額は低くなり、かつ、建設資金の借金することで、相続財産を低くすることが可能でした。
迷う理由としては、最近のニュースで少子高齢化などの影響で空き家が社会問題化していることにあります。
営業マンのいうとおり、今の時点だけで考えれば、財産は圧縮でき、子供たちの相続税負担は軽くなる。
しかし、ここにアパートを建てたことで、後で子供たちが苦労するのではないかと不安になるのです。
上記のような話は枚挙にいとまがありません。
不動産会社や士業、金融機関の方なら、このような話の展開は経験があると思います。
では、この将来に対する不安に対して、どのような説明が必要でしょうか。
評論家になって感覚で話してしまうケースが多いのではないでしょうか。
そこで、データに基づいた、明快で簡単な説明ができれば好印象です。
エクセルの活用や統計的な分析については、こちらを参照してください。
賃料の予測をしてみます。
駅距離などの地域要因、構造や面積などの個別的要因が類似している賃料データを収集します。
suumo、HOME'Sなどの不動産ポータルサイトからデータを収集しましょう。
不動産関係の方であればレインズやathomeも活用しましょう。
新築から5年程度が著しく下落、5年以上から下落幅が緩やかに推移しています。
桜ケ丘駅は都心ターミナル駅である新宿も近く、居住環境も良好で、人気のある住宅街です。
2駅先は明大前駅があり、明大前駅で京王井の頭線に乗り換えて2駅で人気の吉祥寺駅もあり、学生や若いサラリーマンの需要もあります。
築5年程度までは、新築プレミアムがなくなる要因もあるため、賃料の下落が著しいですが、5年以降は、適正な維持管理され行わていれば賃料水準は底堅いことが分かります。
賃料が底堅いということは、古くなってもある程度の需要があるということが想定できます。
また、古くても稼働率と賃料を維持できるのであれば、将来的に投資用不動産として売却することも可能です。
将来時点ではありませんが、今の時点で、同じような建物が経過年数ごとに、どのような賃料水準であるかを分析することで、将来の賃料水準を推測することができます。難しいロジックもありませんので、とても分かりやすいです。
このような地域であれば、安心してアパート建築に踏み切れるのかもしれません。
賃料と築年との関係性を調べていますが、賃料を稼働率や利回りなどに置き換えることで、多角的な分析をしましょう。
投資用不動産を所有する以上、相続税の節税だけを意識するのではなく、不動産事業をする投資家としての意識を持つことが重要です。負の遺産を相続させないためにも自己責任で判断しなければなりません。
30年、50年という長期的なスパンでみると、実はトータルでマイナスなるということがないようにしましょう。