東京都公表の資料(2018年1月29日)によると、
世帯数に占める分譲マンションなどの集合住宅の割合は約30%となっています。
地価の高い23区などの都心部でその割合は更に高くなる傾向にあると思われます。
マンションは区分所有建物といい、建物専有部分に敷地利用権が付随しているため、
土地と建物を分離して処分することができません。民法上土地と建物は別個の不動産とされていますが、
マンションは土地と建物が一体化しています。
土地であれば、地価公示や路線価など、価格の指標となるデータを誰でもが参照することができますが、
マンションの場合このようなデータがないため、価格の指標がありません。
マンションについても、土地と同様に地価公示や路線価のような指標があれば便利なんですが。。
では、どのようにマンション一室の価格を査定するのかを以下のステップで紹介します。
すこし古いデータですが東京都が平成23年に実施したマンション実態調査によると、
1棟あたりの平均戸数が34.7戸という結果になっています。東京都以外のマンションの方が
規模が大きいはずですので、全国平均だと50戸程度でしょうか。
何が言いたいかというと、一棟あたり50戸程度あれば、
現在又は最近において売出中の物件がある可能性が高いということです。まずはこの売出情報を探しましょう。
仮に現在売出中の物件があったとします。
しかしこの価格は売主の売主による売主のための売り希望価格だということを肝に命じましょう。
一般の人が不動産を処分するというのはそれなりの事情が背景にあります。この背景を想像する必要があります。
また、売主にとって適正な価格があったとしても、そんなものはアウトオブ眼中です。
ちょっとでも高く売りたいというのが人情です。
ここはあまり責められないところかもしれません。
普通の経済活動だと思います。
では、その売り希望価格で成約しているかというと、やはり買主もそこいらへんのことは承知していますし、
それなりの情報武装もしているので、買主なりの相場観をもって交渉するため成約価格は低くなります。
どの程度でしょうか。公益財団法人東日本流通機構の公表資料
築年数から見た首都圏の不動産流通市場「中古マンション成約物件の築浅・経年物件比率が拡大」
を整理すると下落率は次のとおりです。
http://www.reins.or.jp/trend/rt/index.html
築0~5年 -15%
築6~10年 -10%
築11~15年 -13%
築16~20年 -11%
築21~25年 -16%
築26~30年 -19%
築31~ -27%
築年数が古くなるほど、維持管理の状況やリフォームの有無など個別的な要因が作用するためなんともいえませんが、
概ね15%程度下落して成約しているということが読み取れます。
ここで注意が必要な点は、現在の売出価格が数度の値段改定後の価格かもしれないということです。
15%の下落はあくまで、新規登録時の売出価格に対する値下げ率だからです。
先ほど総戸数は50戸程度という話をしましたが、この50戸すべてが同じ単価で分譲はされていません。
専有面積、階数、位置、方位などなどの要因に応じて価格設定されています。
一番高い住戸は最上階、南東角室というケースが一般的です。
この各住戸ごとの格差率はどの程度でしょうか。
もし新築で購入されたなら、購入時の資料の中にマンションの価格表があるかもしれません。
分譲時の価格表
この価格表を単価表に修正します
どうでしょうか。マンションの価格の特徴として、
上に行くほど、角のほど、面積が小さいほど、単価が高くなる傾向を読み取れます。
あとは対象マンション(406号室)と事例マンショ(302号室)の位置関係が分かれば要因による格差を導けます
ここまでくればゴールは目前ですので頑張りましょう!
ここまでの整理
・302号室の売出価格: 仮に 3000万円とします
・売出価格と成約価格の格差: -15%
・価格表による要因格差: 97.3/85.2(分譲時の単価比)
査定額:
3000万円 × (100% - 15%) × 97.3/85.2 ≒ 2900万円