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それでも家が欲しいというならこんな物件がいいのでは

 

将来予測というものには限界がありますが、こと日本の不動産、特に住宅価格については将来的にいい材料が少ないと思います。2020年まではオリンピック特需があるということで「いまはまだ大丈夫」という雰囲気が支配しているような感じがしますが、現在の不動産価格にはこれらの要因が既に織り込まれているので、価格を維持するにはその先の要因が必要になります。ただ材料としては負の要因の方が強いと思います。以下整理してみました。

 

【今後地価が下がる要因】
・空き家の状況
以前のブログでも触れていますが、現在の空き家率は13.5%と過去最高を更新中で、今後何らかの対策が講じられない場合、平成45年には空き家率が30.2%、なんと3件に1件程度の割合にまで上昇するというシンクタンクの予想数値もあります。都心部と地方部でこの割合は異なるが、家あまりの時代になったといえるのではないでしょうか。
www.fudousan.or.jp

 

・人口と世帯数の推移
空き家率と反比例するように人口は減少の一途です。国立社会保障・人口問題研究所の公表資料によると、2015年の人口は1億2709万人ですが、2053年には 1 億人を割って9924万人になると予測されています。空き家率に直接影響を与える世帯数の推移はどうでしょうか。2010年時点の世帯数は5184万世帯で2019年に5307万世帯とピークを迎え、その後減少に転じ2035年には4956万世帯にまで減少すると予測しています。また、平均世帯人員も2010年の2.42人から2035年には2.2人まで減少すると予測しているので、従来のファミリー向けの住宅に対する需要は更に減少するといえます。

 

・生産緑地の解除
とどめとして最近話題になっているのが2022年問題です。都心部の田畑に「生産緑地地区」という看板が掲げられているのを見たことがあると思います。この地区に指定されると固定資産税は農地扱いとなり、相続税については納税猶予を受けることができます。本来であれば都心部(市街化区域)の農地は宅地に転用すべきですが、30年間営農するという条件で宅地並み課税を猶予するという制度です。1万ha以上の土地が生産緑地に指定されています。1992年に生産緑地法が施行されてから期限が切れるのが2022年です。この年以降市場に大量の土地が供給される可能性があるこが懸念されています。

 

これらの要因はオリンピックという好材料が霞んでしまうくらいのインパクトがあります。

 

不動産の価値が下がろうが何だろうが、マイホームが欲しいという意見は多いと思います。私の個人的な意見としては「家なんか買わない方がいい」です。利便性の高い公団に申し込んで、地方の空き家を別荘としてただ同然で購入した方が豊かな生活だと思います。個人的な意見ですが、あえて購入するなら下記の条件にあてはまるものを選択します。


・駅近の中古マンション
マンションの価格は戸建と異なり、新築プレミアムが剥がれてある程度まで下落すると、価格が安定するという傾向があります。市況がよくなれば値上がりすることも普通にあります。また、中古であれば、維持管理の状況や管理組合が機能しているかなども購入前に調査できます。駅近で管理のよい中古マンションであれば賃貸することも十分可能です。


・築古の戸建住宅
一般的な木造の戸建住宅であれば築20年程で資産価値が0円になります。築20年たっても物理的には問題ないですし、リフォームすることで機能の回復も十分可能です。考え方としては0円でスケルトン部分を購入し、リフォームすることで新築物件なみにインフィルを回復すれば、新築物件を購入するよりも費用対効果は高くなるのでお得です。

 

・不整形の土地
どうせ地価が下がるのであれば、なるべく安く購入するという発想も重要です。同じ街区にある土地でも、整形な土地と不整形な土地では地価が異なります。整形な土地が3000万円で不整形な土地が2000万円だとした場合、価値が50%下落した場合の損失は整形地の方が500万円も大きくなります。ランニングコストの面ではどうでしょうか。固定資産税と都市計画税は固定資産税評価額に一定の税率を乗じて計算されます。この固定資産税評価額も不整形地の方が低くおさえらえます。相続税も同様です。不整形地の方が低く評価されるのです。整形地だったために、基礎控除額を超えてしまい、申告が必要になるといったケースも想定されます。

 

・仕入価格での購入
これは難易度が高いですが、競売物件を購入するというのも検討の余地があります。
プロの市場ですが、市場価格の3割減で購入できるかもしれません。