相続は人生のなかで何度も経験するものではありません。
不動産の売買、結婚、就職などと同じように人生の大きな節目になります。
相続のながれの中には、葬儀、遺産分割協議、相続税の申告、不動産の名義変更、財産の処分などがあります。
普段の生活ではほとんど経験しないことを短期間で行う必要があります。
葬儀は葬儀会社に、遺産分割協議は法律の専門家に、相続税の申告は税理士に、不動産の名義変更は司法書士に、不動産の処分は不動産会社にお願いするケースがほとんどではないでしょうか。
富裕層であれば、税理士などの士業、不動産の管理会社、金融機関なども普段から身近かもしれません。
しかし、一般的な世帯にとっては普段の生活で付き合いなどもなく、相談するにも敷居が高く感じられるかもしれません。
本サイトでは、相続を自分でおこなう場合どのような手続きが必要になるか、大まかな流れを整理してみました。
税金の申告や不動産の登記などの手続きも自分でおこなうことは可能です。特に相続する財産の内容がシンプルな一般的なご家庭ほど、自分でおこなう条件が整っているといえるのではないでしょうか。
自分で相続することのリスクや手続きにかかる時間などを考慮し、最後は自己責任で判断してください。
本サイトが皆様のお役に立てれば幸いです。
期限 | 内容 | 概要 | 専門家 | コスト感 |
↓ | 被相続人の死亡 | 被相続人の死亡により相続がはじまります。 | ||
↓ | 葬儀 | お通夜、告別式、火葬を行います。 | 葬儀会社 | 150万円 |
7日以内 | 死亡届、火葬許可 |
市区町村役場に死亡届を提出します。 |
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↓ | 遺言書の確認 | 公正証書遺言以外の遺言書の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。 | ||
↓ | 相続人の確定 |
必要な戸籍、改正原戸籍、除籍をとりよせて相続人を確定します。(相続関係説明図の作成) |
行政書士 | 5万円 |
↓ | 相続財産調査 | 被相続人のプラス財産、マイナス財産を調査し、相続財産目録を作成します。 | ||
↓ | 財産の評価 |
不動産、株、ゴルフ会員権、骨董品等の評価を行います。 ※相続税を申告するための財産評価と遺産分割をするための時価評価は異なります。 |
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3ヶ月以内 | 相続放棄・限定承認 |
家庭裁判所に申し立てをします。 手続きの詳細:裁判所ウェブサイト |
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4ヶ月以内 | 所得税の準確定申告 | 被相続人に申告すべき所得がある場合には、相続人が所轄税務署に申告・納付をします。 | ||
↓ | 遺産分割協議 |
相続人全員で相続財産分配の協議をします。協議が整えば遺産分割協議書を作成します。 ※有効な遺言書があり、遺言書どおりに分割する場合は不要。 |
行政書士 | 10万円 |
↓ | 納税資金の準備 |
納税資金の準備、延納、物納、不動産売却などを確定します。 ※不動産の価値は5000万円程度を想定 |
不動産会社 ※仲介 |
150万円 |
10ヶ月以内 | 相続税の申告・納付 |
所轄税務署に相続税の申告・納付をします。 ※相続財産の総額は1億円程度を想定 |
税理士 |
50~ 100万円 |
↓ | 相続財産の名義変更 | 不動産の相続登記、その他財産の名義変更をします。特に期限はありませんが、トラブル回避のため迅速に行います。※相続関係説明図の添付で戸籍謄本の原本を返却してもらえます。 | 司法書士 | 20万円 |
1年以内 ※1 |
遺留分の減殺申請 | 遺言によって遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、遺留分を侵した相手に対し1年以内に「遺留分の減殺(げんさい)請求」を行うことで、これを取り戻すことができます。 | ||
2年以内 | 葬祭費、埋葬料の請求 | 国民健康保険に加入の場合は、市区町村役場に申請します。 | ||
3年10ヶ月以内 | 相続税の特例適用のための分割期限等 | 「配偶者の税額軽減」「小規模宅地の評価減」「特定事業者用資産の特例」を適用し申告内容を修正できます。 | 税理士 |
※1 遺留分の侵害が合った日から
葬儀会社に頼むのが一般的です。ひと昔前までは、隣組などと協力して家族が中心となっておくる風習も残っていました。最近では、直葬などのシンプルな葬儀も浸透しつつあります。しかし、大切なのは故人の遺志です。故人が望んだ形でおくるのがベストかもしれません。
法律系の士業に頼みます。相続人を確定することが、後々の遺産分割協議、相続税の申告、財産の名義変更をする条件になります。被相続人の戸籍謄本を、出生の段階まで遡って取得する必要があり手間と時間がかかります。この段階で思わむ相続人の存在を知るかもしれません。
法律系の士業に頼みます。有効な遺言書があり、遺言書のとおりに分割する場合は必要がありません。遺言書がなく、相続する財産に分割が難しい不動産などがある場合は、どのように分割するかを話しあう必要があります。また、公正証書の形にするとで、正確性が担保されます。
相続する財産のほとんどが不動産のようなケースで、相続税の納付資金を確保するためや、遺産分割するために売却を検討するケースがあります。土地の規模にもよりますが、不動産会社への売却か仲介会社で媒介するパターンが中心です。隣地の所有者が購入するケースもあります。
税理士に頼むのが一般的です。相続税の税制にともない一般的な家族にとっても無視できない税金になりました。これからは、所得税の確定申告のように、自分で申告するケースも増えていくと思われます。相続する財産が非上場の株式や複雑な不動産の場合は、注意が必要です。
不動産の名義変更は登記申請が必要になるため、司法書士に頼むのが一般的です。相続登記は申告とことなり義務ではないので、おざなりになるケースもあります。しかし、現在の権利関係を明確にしておかないと、後々の売買や担保設定などが難しくなるので、ちゃんと手続きをしておきましょう。