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不動産の行政調査、どこで何を調べるのか

〇行政調査の基礎

 

・どんな職業で必要なのか

 

不動産業、建設業、金融機関、不動産調査会社、不動産鑑定会社などに勤務し、不動産を扱う場合の必須業務の一つに行政調査(役所調査)があります。特に不動産会社の新人は行政調査から不動産の業務が始まるケースが多いです。

 

 

・なぜ必要なのか

 

不動産仲介会社であれば、重要事項説明書の記載事項として、設計事務所であれば設計図面作成の基礎情報として、金融機関であれば担保物件の遵法性の判断資料として、鑑定会社であれば評価書の記載事項として、それぞれ避けては通れないのが行政調査です。

 

 

・行政調査の基本的な流れ

 

事前準備 → 現地調査※ → 行政調査

 

※行政調査の前に現地調査が必要になります。役所の担当窓口で現地の様子を説明するために必要です。

 

 

・行政調査の持参物

 

住宅地図、公図、測量図、謄本、筆記用具、メモ帳、電卓、三画スケール

会社によっては行政調査用のシートがある場合もあります。

このようなシートを準備することで聞き漏れを防ぐことができます。

ない場合は下図を印刷してご利用下さい。

 

 

・どこで調査するのか

 

調査に行く官庁は基本的に市区町村になります。

建築主事のいない行政庁では、建築基準法関連の調査が都道府県の建築土木事務所などになります。

自治体によっては、セクションごとに庁舎が異なるケースもあるので、ホームページなどで事前の調査をしておきましょう。

 

 

〇調査内容(役所の担当窓口ベース。名称は役所毎にことなります)

 

 

・都市計画課

 

  用途地域、防火規制、建ぺい率、容積率、高度地区、日影規制、斜線制限、地区計画、建築協定、都市計画施設 等

 

 

・道路課

 

  道路の幅員、私道、公道等の道路の種類、境界確定の有無 等

 

 

・建築指導課

 

  道路の建築基準法上の扱い、セットバックが必要な場合は後退距離、建物がある場合は、建築確認概要書や検査済証の取得 等

 

 

・防災課

 

  ハザードマップの取得、浸水履歴の有無、土砂災害警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域 等

 

 

・環境課

 

  土壌汚染対策法、環境確保条例、水質汚濁防止法、下水道法 等

 

 

・生涯学習課

 

  埋蔵文化財包蔵地の有無

 

 

・水道局

 

  前面道路配管有無、引き込み有無、口径

 

 

・下水道局

 

  前面道路配管有無、引き込み有無、口径

 

 

・都市ガス会社

 

  前面道路配管有無、引き込み有無、口径

 

最近では官庁や企業のホームページから調査もできるようになってきましたが、用途地域境で用途がまがらるケースや、都市計画線の正確な位置などは、窓口調査が必要になります。また、都市計画や法律も更新されますので、最新の情報を取得するという意味合いからも窓口でヒアリングするようにしましょう。 

 

〇調査のポイント

 

 

・チェックシートの持参

 

調査漏れを防止します。(下図参照)

 

 

・ヒアリング順序

 

庁舎の上層階から下層階に順に調査することで、調査漏れを防止します。

 

 

・再調査

 

一度ヒアリングしても、再度疑念が生じた場合は必ず再調査をしましょう。相手は役人なので遠慮は無用です。

 

 

・現場主義

 

行政調査は数やってなんぼです。各自治体毎に運用や回答の仕方も異なるので、現場での知識習得を心掛けましょう。

 

 

・相手は役人

 

基本的に窓口担当者は質問された内容にしか回答しないと覚えておきましょう。担当者が「こういうことも確認した方がいいんじゃないか」と思っていても、気をきかせてはくれません。どちらかというと余計な事は喋りたがらないので、積極的に質問して下さい。質問された内容は、情報公開請求が必要な事柄や個人情報にかかる内容以外は基本回答してくれます。但し注意が一点あります。役所はジョブローテーションが頻繁なので、担当者が新人ということが往々にしてあります。役人は基本専門家ではないので、この新人にあたると回答が不適切になるケースもあります。ただヒアリングすればよいということではないので注意しましょう。

 

 

・訪問時間

 

最近は遅くまで開庁している自治体も増えてきましたが、基本17時には閉店ガラガラです。特に地方の出張案件で一発勝負になる場合は注意しましょう。但し、行政調査代行サービスなどもあります。

 

 

・電話ヒアリング

 

窓口のヒアリングが慣れてきたら、電話ヒアリングで事前調査をしておきましょう。窓口での調査時間が大幅に短縮できます。電話だけで全ての情報は収集できませんが、用途地域など基本的な情報は確認できます。

 

行政調査シート

※下記のシートをコピーしてエクセルファイルに張り付けてご利用ください。

調査日:     年    月    日 (  ) 担当者:
住居表示:                     地番:

課 ・ 窓口担当者:

都市計画区域: 都市計画区域内 ・ 準都市計画区域内 ・ 都市計画区域外
区域区分: 市街化区域 ・ 市街化調整区域 ・ 非線引区域
用途地域:

第一種低層住居専用地域  第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 

第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 田園住居地域 

近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域

防火規制: 防火地域  準防火地域  新防火地域  なし
指定建蔽率:
指定容積率:
高度地区:  
日影規制: ―    h(測定面   m)
斜線制限:  
最低敷地面積: ㎡ ・ なし
地区計画:  
都市計画施設:  
建築協定:  
宅地造成等規制法:  
開発許可について:  
開発指導要綱:  
都市計画道路:  
区画整理事業:  
再開発事業:  
その他:  
課 ・ 窓口担当者:
道路方位: 東 ・ 西 ・ 南 ・ 北
道路の種類:  
幅員:  
官民境界確定: 確定済 ・ 未確定
建築基準法上の扱い:  
セットバック:  
その他:  
課 ・ 窓口担当者:
浸水履歴:  
土砂災害警戒区域:  
土砂災害特別警戒区域:  
急傾斜地崩壊危険区域  
その他:  
課 ・ 窓口担当者:
土壌汚染の可能性:

土壌汚染対策法:  要措置区域 ・ 形質変更時届出区域 ・ なし

環境確保条例等:  工場 ・ 指定作業場 ・ なし

水質汚濁防止法+下水道法(届出事業場名簿): あり ・ なし

その他:  
課 ・ 窓口担当者:
文化財包蔵地:  
その他:  
課 ・ 窓口担当者:
上水道: 前面道路 口径:    ㎜ ・ 引込 口径:    ㎜ ・ なし
下水道: 前面道路 口径:    ㎜ ・ 引込 口径:    ㎜ ・ なし
都市ガス: 前面道路 口径:    ㎜ ・ 引込 口径:    ㎜ ・ なし
その他: