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不動産の税金にはどのようなものがあるのか

〇税金の種類

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

・印紙税(国税)

・消費税(国税・地方税)

・登録免許税(国税)

・相続税(国税)

・贈与税(国税)

保有時

・固定資産税(市町村税)

・都市計画税(市町村税)

売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

・印紙税

〇税金の概要

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

 

売買などで不動産の所有権を取得した者に対して、その不動産の所在する都道府県が課税する税金。

・印紙税(国税)

課税文書(住宅の売買契約書、住宅ローンの契約書、印紙税法別表第1)に印紙を貼り、それを消す(印章又は署名で、課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消す)ことにより納付する税金。契約書に記載された金額により決まる税金。

・消費税(国税・地方税)

商品の販売や役務の提供、資産の貸付け等を行った場合に、その取引に対して課税される間接税。課税対象は建物で土地は非課税。

・登録免許税(国税)

不動産の登記等を受ける者に対して、登記申請時に課税する税金。課税対象は所有権の保存登記、抵当権の設定登記等(登録免許税法別表第1)。

・相続税(国税)

被相続人(死亡者)からの相続などによって、不動産等の財産を取得した場合、その財産に課される税金。

・贈与税(国税)

個人から不動産などの財産の贈与を受けた場合、その財産に課される税金。

保有時

・固定資産税(市町村税)

賦課期日(1月1日)において固定資産(土地、家屋、償却資産(地方税法341条4項))を所有している者に対して課される税金。

・都市計画税(市町村税)

原則として市街化区域内の土地及び家屋の所有者に対して課される税金。

売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

個人が土地建物等を譲渡した場合の譲渡所得は、他の所得と分離して課税(分離課税)。

注:法人は分離課税ではない。

・印紙税

上記同様

〇税金の計算方法

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

固定資産税評価額に所定の税率を乗じて求めます。2019年1月時点では3%(住宅)、4%(非住宅)ですが、都道府県のHPで最新の税率を確認。

・印紙税(国税)

国税庁のHPで最新の一覧表を確認。

・消費税(国税・地方税)

2019年1月時点では8%。国税庁のHPで最新の税率を確認。

・登録免許税(国税)

不動産の売買であれば、課税標準(固定資産税評価額)に所定の税率を乗じ、抵当権の設定であれば、課税標準(債権額)に所定の税率を乗じて求めます。登録免許税法別表第1で課税標準、所定の税率を確認。

・相続税(国税)

国税庁のHPで最新の速算表を確認。

・贈与税(国税)

国税庁のHPで最新の速算表を確認。
保有時

・固定資産税(市町村税)

課税標準(固定資産税評価額)に税率を乗じて求めます。標準税率は1.4%ですが、税率は各自治体に確認。

・都市計画税(市町村税)

課税標準(固定資産税評価額)に税率を乗じて求めます。制限税率は0.3%ですが、税率は各自治体に確認。
売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

長期譲渡所得(譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年超)、短期譲渡所得(譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年以内)で税率が異なる。

2,000万円以下14%(所得税10%、住民税4%)

2,000万円超20%(所得税15%、住民税5%)

短期譲渡所得の税率は一律39%(所得税30%、住民税9%)

所得金額の計算式 総収入金額※1-(取得費※2+譲渡費用※3)

※1 譲渡価額

※2 取得に要した金額+設備費、改良費-償却費

※3 仲介手数料、印紙代、取壊費用等

・印紙税

上記同様

国税庁HP

〇誰が納めるのか

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

不動産を取得したものが納税義務者。

・印紙税(国税)

課税文書の作成者(文書に記載された作成名義人)が納税義務者。二人以上で共同して作成した場合は、それぞれが連帯納税義務を負う。

・消費税(国税・地方税)

課税対象となる取引を行う個人事業者及び法人が納税義務者。

・登録免許税(国税)

登記等を受ける者が納税義務者。複数いるときは、それぞれが連帯納税義務を負う。不動産売買では慣行的に買主が負担する。

・相続税(国税)

相続や遺贈で財産を取得した者。

・贈与税(国税)

財産の取得した者(受贈者)。
保有時

・固定資産税(市町村税)

賦課期日現在の固定資産課税台帳登録者(台帳課税主義)。

・都市計画税(市町村税)

賦課期日現在の固定資産課税台帳登録者(台帳課税主義)。
売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

不動産を売却し所得を得た者。

 

・印紙税

上記同様

国税庁HP

〇いつ納めるのか

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

納税通知書到達後

・印紙税(国税)

課税文書に貼り付ける方法により納付。

・消費税(国税・地方税)

間接税になるので、購入時点で消費税相当額を負担する。

・登録免許税(国税)

登記申請時

・相続税(国税)

相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内。

・贈与税(国税)

贈与を受けた年の翌年の3月15日迄。
保有時

・固定資産税(市町村税)

納期は年4回に分けられる。納税通知書で確認。

・都市計画税(市町村税)

納期は年4回に分けられる。納税通知書で確認。
売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

所得税:所得のあった年の翌年の3月15日迄。

法人税:納期は年4回に分けられる。納税通知書で確認。

・印紙税

上記同様

国税庁HP

〇非課税

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

公共的公益的な目的に供される不動産の取得。

相続、法人の合併、分割等の形式的な所有権の移転。

免税点未満(土地:10万円、家屋の新築・増築:23万円、家屋の取得:12万円)

・印紙税(国税)

1万円未満のもの。

自然災害の被災者で代替の建物を取得する場合、非課税とされる可能性がある。国税庁のHPで最新の情報を確認。

・消費税(国税・地方税)

土地の譲渡や貸付、住宅の貸付

・登録免許税(国税)

建物表題登記、公共法人、公益法人

・相続税(国税)

基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数

非課税財産:墓地、生命保険金、退職手当金、申告期限までに国などに寄付した財産等。

・贈与税(国税)

基礎控除額110万円

非課税財産:法人からの贈与は所得税、扶養義務者からの生活費や教育費等

保有時

・固定資産税(市町村税)

免税点未満:土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円

非課税財産:公衆用道路、公園、学校施設、社会福祉施設等

・都市計画税(市町村税)

免税点未満:土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円

非課税財産:公衆用道路、公園、学校施設、社会福祉施設等

売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

 

・印紙税

上記同様

国税庁HP

〇軽減制度 (注:適用期限に注意しましょう。)

取得時

・不動産取得税(都道府県税)

新築住宅、中古住宅を取得した場合は各種の特例が適用されます。都道府県のHPで最新の控除額、適用要件を確認。

・印紙税(国税)

 

・消費税(国税・地方税)

新築または取得後1年以内に受ける住宅用家屋の保存登記、移転登記、抵当権設定登記(住宅取得資金の貸付等)については特例が適用されます。国税庁のHPで最新の税率、適用要件を確認。

・登録免許税(国税)

平成31年10月1日から軽減税率制度を実施予定

・相続税(国税)

配偶者には税額の軽減制度あり。正味の遺産額が1億6千万円以内又は法定相続分相当額までは非課税。

・贈与税(国税)

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与には特例税率が適用。国税庁のHPで最新の速算表を確認できます。
保有時

・固定資産税(市町村税)

住宅用地や新築住宅に対して特例が適用。各自治体のHPで最新の控除額、適用要件を確認。

・都市計画税(市町村税)

住宅用地に対して特例が適用されます。各自治体のHPで最新の控除額、適用要件を確認。
売却時

・所得税(国税)、住民税(都道府県税)

国、地方公共団体に対する譲渡等、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得について課税の特例がある(2019年12月31日迄)。

2,000万円以下の部分は、所得税10.21%、住民税4%

2,000万円を超える部分は、所得税15.315%、住民税5%

注)収用などの5,000万円控除、代替資産の特例などを利用したケースでは適用されない。

・印紙税

上記同様

国税庁HP