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不動産を購入する前に、本当にこの街でいいのかを検証してみる

 

 

マイホームを購入する際に、地縁的選考性、職場、子供の就学先などの関係から地域ありきの選択になりがちです。不動産を購入するということは、物件としての家とその家がある地域を購入するということと同義です。

 

不動産の購入 = 家 + 地域

 

家は自分の裁量で自由に変更することができます。リフォーム、改築、建替えなどをすることでリニューアルできます。また、時の経過とともに朽廃していきます。

 

地域はどうでしょうか。家をとりまく環境については、完全に受け身です。ですので、不動産を購入する際は家よりも地域の選択が重要になります。変えることができない地域の選択は失敗が許されないからです。

 

ずっと同じ地域に住んでいると近視眼的になり、他の地域と相対的な比較をすることをしなくなります。

 

「子供の時から住んでるから」

「実家が近いから」

「今住んでいるアパートの近くだから」

 

これでは、地域を選んでいることにはなりません。

 

人口減少社会をむかえ、自治体間においては重要な財産である居住者の獲得競争がはじまるかもしれません。

 

「隣の市に入った瞬間に、道路の整備が悪くなった」

「あそこの市は、小学校の給食が無料らしい」

「自分の住んでいる区は高校まで医療費が無料」

 

こういった違いを自分なりに納得したうえで、購入するかどうかを判断するべきです。

これからの不動産の選択は、地域の選択が重要なファクターになります。

 

 

 

〇どのような要因について調べるか

 

ここではいくつかの指標について調査してみたいと思います。オープンソースのデータを活用するので、誰でも取得することができます。

 

調べる指標

①犯罪発生件数

②待機児童数

③公園数

④病院数

⑤財政力指数

※調査結果は調査時点に基づきます(2018/06/28

 

 

①犯罪発生件数

 

東京都であれば、警視庁の犯罪発生状況について市区町村別のデータを取得できます。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/jokyo/ninchikensu.html

 

正確な検証をするには、人口比にデータを加工する必要がありますが、ここでは単純に絶対数での比較を行います。他の調査も同様とします。

 

犯罪発生件数が少ない上位市区町村

1位 西多摩郡檜原村

2位 西多摩郡奥多摩町

3位 西多摩郡日の出町

4位 西多摩郡瑞穂町

5位 あきる野市

6位 羽村市

7位 福生市

8位 狛江市

9位 稲城市

10位 国立市

※島を除く

 

 

犯罪発生件数が多い上位市区町村

1位 足立区

2位 世田谷区

3位 新宿区

4位 江戸川区

5位 大田区計

6位 渋谷区

7位 練馬区

8位 豊島区

9位 板橋区

10位 江東区

 

足立区の人口は世田谷区より20万人ほど下回っているので、人口密度と犯罪件数が必ずしも比例していないのが分かります。

 

 

②待機児童数

 

子育て世代にとっては社会問題になっています。

東京都であれば都内の保育サービスの状況について市区町村別の概況データが取得できます。http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/07/25/07.html

 

待機児童数の少ない上位市区町村

1位 千代田区 0

1位 豊島区  0

1位 福生市  0

1位 羽村市  0

1位 日の出長 0

1位 檜原村  0

1位 奥多摩町 0

※島を除く

 

待機児童数の多い上位市区町村

1位 世田谷区

2位 目黒区

3位 大田区

4位 江戸川区

5位 府中市

 

居住地として人気の高いエリアほど、待機児童数も増加する傾向が読み取れます。

 

 

③公園数

 

東京都オープンデータカタログサイトより東京都都市公園等区市町村別面積・人口割比率表を取得できます。http://opendata-catalogue.metro.tokyo.jp/dataset/t000014d0000000003

 

1人当たりの公園面積が多い上位市区町村

1位 奥多摩町

2位 瑞穂町

3位 千代田区

4位 武蔵村山市

5位 多摩市

 

1人当たりの公園面積が少ない上位市区町村

1位 檜原村

2位 豊島区

3位 中野区

4位 狛江市

5位 目黒区

 

郊外だから公園が多いということではないようです。

 

 

④病院数

 

東京都であれば医療施設(動態)調査・病院報告結果報告書から市区町村別のデータを取得できます。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/chosa_tokei/iryosisetsu/heisei28nen.html

 

病院数の多い上位市区町村

1位 足立区

2位 板橋区

3位 八王子市

4位 大田区

5位 世田谷区

 

病院数の少ない上位市区町村

1位 檜原村

2位 瑞穂町

3位 奥多摩町

4位 国分寺市

5位 国立市

 

犯罪が多い街に病院が多いという嫌な相関を発見しました。

 

 

⑤財政力指数

 

自治体の財政力を示す指標です。1.0以上であれば自治体の税収のみで行政を遂行でき豊かな自治体といえます。東京都であれば東京都区市町村の財政情報についてから市区町村別のデータを取得できます。

http://www.soumu.metro.tokyo.jp/05gyousei/28nend.html

 

財政力指数の高い上位市区町村

1位 武蔵野市

2位 調布市

3位 府中市

4位 港区

5位 立川市

 

財政力指数の低い上位市区町村

1位 檜原村

2位 奥多摩町

3位 荒川区

4位 足立区

5位 葛飾区

 

人気のある居住エリアは財力があることが伺えます。

 

 

自分が地域に求めたい環境要因を絞り込んで、購入を検討している自治体と隣接市区町村のデータを比較することで、各自治体の強みと弱みが明確になります。それを承知したうえで購入すれば、後から後悔することも少なくなるはずです。

 

 

〇便利なサイト

 

みんなでつくる地域・生活情報サイト「生活ガイド.com