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土地を手放す方法

 

政府は土地の所有権を放棄する制度の検討をはじめました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31241990R00C18A6MM0000/

【日経電子版201865日配信】

 

民法上は所有者のない土地は国庫に帰属するとある。

 

2392項 

所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

 

 

 〇相続放棄はどうか

 

相続の場合は相続放棄という手段により、所有権を手放す手段があるが、土地の所有権以外の他の財産も手放す必要があるので、相続財産が土地などに限られるか、マイナスの相続財産が多い場合にしか検討できない。また、自分が相続放棄したからといって、誰も相続しないというわけではない。父親の土地を妻(母親)と子供が相続放棄した場合、次の順位、この場合は父親の両親に相続されます。父親の両親が存命でない場合、父親の兄弟が相続人になります。自分が相続放棄したから終わりということにはならないので注意が必要です。

 

相続放棄の手続きについては特別が知識を要するものではないので、裁判所の職員に相談しながらすすめることも可能です。http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/

 

そもそも民法には所有権を放棄するための規定がありません。つまり、現状では不動産の所有権を放棄したくても、放棄できない。

 

 

〇役所は引き取ってくれないか

 

地元の自治体に相談しても基本的には引き取ってはくれません。道路や公園などの公共性が高い土地であれば可能性はありますが、絶対ではない。土砂災害など土地は他人の財産や生命に危害を加える可能性もあるため、適正な維持管理が必要になります。そのようなリスクのある土地を自治体もむやみにに引き受けることはできないのです。

 

 

〇不動産屋はどうか

 

ですから、不動産会社に相談しても難しいのは当然です。価値のない不動産ではそもそも仲介手数料が見込めません。価値のない土地を買い取っても、住宅やビルを建てるといった再開発が難しいため、利益を得る機会がないためです。

 

 

〇隣地の所有者はどうか

 

土地を売る場合は隣地に声をかけるのが鉄則ですが、隣地の所有者も同様の問題を抱えているかもしれません。可能性としては、隣地が不整形だったり、道路に接道していない袋地であれば、隣地と合筆することで土地の効用が向上するのであれば検討してもらえるかもしれません。但し、効用が向上することにより、固定資産税も上がることになります。そもそも地域としてポテンシャルが低い場合は、いくら土地の効用が増したとしても、購入者が表れるとは限らないため、ただ維持管理コストだけが上がるという結果になりかねないのです。

 

 

WEBは活用できないか

 

「家いちば」という面白いサイトがあります。不動産の個人間売買ができるサイトである。0円での出品の可能なので検討してみる価値はあると思います。不動産に対する価値観は多様なため、大多数の人にとって価値がなくても、価値を見出す人も現れるかもしれません。Googleの翻訳機能を利用することでサイトの閲覧も全国的に可能なので、海外からのオファーもあるかもしれません。日本は外国人による土地取得が容易です。

 

 

〇土地の産廃業者があればおもしろい

 

動産であれば、所有権を放棄することは簡単です。動産は処分することができるからです。自治体のリサイクルセンターや産業廃棄物業者に処分費用を払えば大抵のものは処分してくれます。土地と根本的に違うのは、動産は亡くすことができるけど、土地は亡くせないことです。

 

もし、土地の産廃業者があったら便利です。処分料金は更地としての公租公課(固定資産税、都市計画税)をベースに、処分の難易度に応じて数ヶ月か数年分を設定する。業者は購入した土地の出口を考える。短期間で出口を見つけ、次の購入者に引き渡せば利益を確保できる。この出口をみつけるのが土地の産廃業者のノウハウということになるが、既存の不動産業者が空き家を持て余している現況を考えると異業種の方がよいのかもしれない。