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自力で収益価格を算出してみる

 

 

老後のことを考え、または資産の分散を考え、はたまた金持ち父さんに触発され、投資用不動産の購入を考えている方は多いかと思います。

 

しかし、土地とことなり、投資用不動産には地価公示や路線価などの参考指標もなく、業者から提示された価格が妥当なのか否か検討がつかないと悩んでいる方も多いかと思われます。

 

そこで、ネット上から収集できる情報だけで収益価格の概算を算出することに挑戦してみましょう。

 

 

前提条件:購入したいのは3,000万円程度のアパートかマンション。購入を検討しているのは、JR中央線立川駅徒歩10分にある軽量鉄骨造のアパート。

 

 

Step1:賃料水準を調べる

 

現在稼働していて現況賃料が判明していたとしても、その賃料が妥当か否かを調べる必要があります。賃料が高い状態だと、更新時の退去や、将来の減額請求なども考えられるので、賃料水準を調べましょう。

 

・ネットで調べる

HOME’Shttps://www.homes.co.jp/

スーモ:https://suumo.jp/

 

この2社のプラットホームで十分です。これ以上他のサイトで検索しても、同じ物件が検索される可能性がたかいので、無駄を省きましょう。

 

・ヒアリングする

地元の管理会社や賃貸仲介会社などに電話でヒアリングしてみましょう。ヒアリングする際は賃借人を装ってもいいかもしれません。とりあえず店舗に来てくださいと言われると思いますが、時間があれば行ってもいいかもしれません。個人情報は簡単に提供しないようにしましょう。

 

 

Step2:利回り水準を調べる

 

・ネットで調べる

ノムコム・プロ:https://www.nomu.com/pro/

不動産投資連合体:http://www.rals.co.jp/invest/

健美家:https://www.kenbiya.com/

 

この3社あたりで十分です。注意していただきたいのが、これらの投資用不動産を扱うサイトで掲載されている利回りは満室想定の粗利回りという点です。

 

計算式は

満室年間賃料 ÷ 売出価格 = 粗利回り

です。

 

実際不動産を運用する際には、空室リスクもありますし、修繕費や管理費などのランニングコストも発生します。

 

不動産の実質利回りは下記の計算式になります。

純収益※ ÷ 売出価格 = 実質利回り

 

※純収益:実質年間賃料(満室賃料に稼働率を乗じる) ― ランニングコスト

 

ここで注意なんですが、この売出価格は売り希望価格でもあるので、市場水準よりも高い可能性が非常に高いです。いえることは、適正価格未満であれば、セミプロ以上がかっさらってしまうので市場に滞留していません。

 

分母の売出価格を少し補正(例えば0.95を乗じるとか)すると、よりリアルな利回りに近づきます。

 

ランニングコストはどうでしょうか。

稼働率は賃料水準、築年数や設備によりことなりますが、一般的には2530%のレンジに集約される傾向があります。ですので具体的なランニングコストが分からない場合は下記の計算式でも実質利回りを算出できます。

 

粗利回り × (1 ― 経費率0.3) = 実質利回り

 

具体例)

10%(粗利回り) × (1 ― 0.3) = 7%(実質利回り)

 

3000万円投資すると

3000万円 × 0.07 = 210万円

なんと年間210万円のリターンが不労所得になります。

 

しかしです。

 

なんでこんなに利回りが高いのか?

 

この利回りの構成要素を考える必要があります。

 

不動産と同じ長期投資の資産として最もリスクが低いのは長期国債です。

 

この利回り、現在時点(2018/2/8)でググると0.073%でした。

 

7% ― 0.073% = 6.927

6.927%も高い配当が実現されています。

 

この6.927%の中身はなんでしょうか。

 

そうです、この不動産のリスクそのものなんです。

 

この不動産という投資商品がハイリスクだからハイリターンになっているんですね。

 

不動産のリスクには以下のようなものがあります。

地域リスク:田舎にいくほど、駅から離れるほど、環境が悪いほど高くなります。

運用リスク:貸倒リスク、空室リスク、維持管理リスク

その他のリスク:地震、火災、洪水、戦争、、、

 

不動産ならではのリスクがあるがために利回りが高くなっています。

 

ちなみに日本を代表する東京駅前丸の内のオフィスビルだと3%くらいです。

この数値が意味するのは、不動産としてのリスクが最低でも2%はあるよということです。

 

 

Step3:積算価格で収益価格を吟味する

 

収益価格は分かったとして、その数字だけを鵜呑みにするのはいただけません。

違う視点から収益価格を吟味しておきましょう。それが積算価格です。

 

以前でも紹介した、土地価格と建物価格の概算額を算出し、収益価格と比較してみましょう。

不動産屋に頼まずに自分で土地を査定する 

不動産屋に頼まずに自分で建物を査定する

 

 

 

細かい話は抜きにして、物の価値には3面性があり収益価格、積算価格、市場価格は理論的には一致します。

 

収益価格を検証する意味で、積算価格からもアプローチしてください。この積算価格よりも著しく高い場合は要注意です。

 

また著しく低い場合は別の要因があるかもしれないので要注意です。大島てるhttp://www.oshimaland.co.jp/で確認しましょう。