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自宅が競売になったら売却基準価額はいくらぐらいか

 

自宅の想定条件

 

土地:八王子市役所がある敷地の一画(100㎡)

 

建物:木造2階建・100㎡・平成151月竣工(築16年)

Step1:用途地域を調べる

 

都市計画法上の規制を確認します。

最近ではWEB上で情報公開している自治体も多いです。

役所の都市計画課に電話すれば教えてくれます。

 

都内の物件は下記のサイトから検索できます。

https://www2.wagamachi-guide.com/tokyo_tokeizu/

 

①用途地域は 

 第2種住居地域、建ぺい率60%、容積率200%

Step2:用途地位が類似する近隣の公示地・基準地を調べる

  

土地価格を求めるための基準となる標準地を確定します。

下記のサイト「全国地価マップ」から調べることができます

https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216

 

①対象地の近くで、用途地域も一致する「八王子-64」という公示地を標準地とします。

 

 八王子-64157,000/

Step3:対象地と標準地の路線価を調べる

 

標準地と対象地のある地域は至近で類似していますが、それでも価格相場は異なる可能性があります。

標準地から対象地の価格を求めるために、相続税路線価を活用します。

 

標準地と同様に、「全国地価マップ」で路線価を調べます。

 

対象地、公示地とも路線価は125,000/㎡でした。

ほぼ同じ価格相場といえます。

 

相続税路線価がない場合は、固定資産税路線価で代替できます。

Step4:建物の再調達原価を調べる

 

 

2018531日時点で八王子市及び周辺隣接市の競売物件の評価書を調べたところ、再調達原価の単価は

180,000195,000/㎡のレンジでした。最頻値は180,000/㎡でしたので、ここでは単価を180,000円と設定します。競売資料の閲覧方法は「不動産屋に頼まないで競売不動産の購入にチャレンジしてみる」を参照。

Step5:Step1~4までを踏まえて査定する

 

 

 

①建付地価格の査定

※建付地とは建物の用に供されている土地のことです。建物がない状態を更地といいます。

 

計算式:規準価格 × 個別格差 × 地積 × 建付減価 = 建付地価格

 

・規準価格:標準地価格 × 時点修正 × 標準化補正 × 地域格差 = 規準価格

  

☆標準地価格:Step2より157,000/

 

☆時点修正:標準地の基準日(平成3011日)からの変動率を反映します。基本的には前年度の価格を分母にし今年度の価格を分子にし年間変動率を査定します。この年間変動率を月間変動率に変換し、価格時点(平成30531日)まで6ヵ月経過しているので月間変動率に6を乗じた数値を分子に設定します。但し、八王子市の地価は落ち着いて安定していますので、ここでは100/100とします。

 

☆標準化補正:採用した標準地が角地や不整形地の場合に補正する項目になりますが、公示地や基準地は基本的に補正が必要ない画地になっていますので、ここでは100/100とします。

 

☆地域格差:Step3より対象地と標準地の路線価は一致していますので100/100とします。

 

規準価格:157,000/㎡×100/100×100/100×100/100157,000/

 

・個別格差

個別格差とは地域の標準的な画地が例えば東の道路に面している整形地で、敷地規模が100㎡程度の場合、対象不動産は標準的な画地に比べてプラスかマイナスかを反映する項目になります。

 

プラスの要因:角地、二方路地、道路方位が南など

マイナスの要因:不整形、セットバックなど

 

どの程度プラスとするかマイナスとするかは評価人の判断項目になっていますので、素人が判断するのは極めて難しいです。おおまかな感覚値として下記を参考にしてください。

プラスマイナスがゼロ:1.00

プラス要因が小:1.03

プラス要因が中:1.05

プラス要因が大:1.08

マイナス要因が小:0.97

マイナス要因が中:0.95

マイナス要因が大:0.92

 

対象地は道路方位南の一方路画地ですので、プラス要因が小の1.03とします。

 

・地積

土地の全部事項証明書や売買契約書などに記載されています。今回は100㎡です。

 

・建付減価

建物が土地の効用を阻害している場合の減価項目になります。 

例えばですが、繁華性の高い商業地域の中に、平屋の戸建住宅があれば、それは間違いなく土地の効用を阻害している建物が建っているので減価要因になります。しかし、基本的には建物を建てる際は、地域の標準的な利用方法になっているケースが大半ですので、ここは1.00とします。

 

・建付地価格

 

157,000/㎡  ×  1.03  ×  100㎡  ×  1.00  =  16,171,000

 

 

②建物価格の査定

 

計算式:再調達原価 × 現況延床面積 × 現価率 = 建物価格

 

・再調達減価:Step4より180,000/

 

・現況延床面積:建物の全部事項証明書や売買契約書などに記載されています。今回は100㎡です。

 

・現価率:

計算式: 経済的残存耐用年数 ÷ (経過年数 + 経済的残存耐用年数) × (1 - 観察減価率)

 

2018531日時点で八王子市及び周辺隣接市の競売物件の評価書を調べたところ、木造の経済的耐用年数は25年となっています。観察減価率とは、経年減価以外の減価要因があれば反映する項目です。例えば火災や震災などで、建物の一部が棄損している場合などです。但し、特に経年減価以外の減価がない場合でも10年で10%程度の減価率を反映しているケースが散見されます。ここは詳しく解析すれば、ある程度の法則性は見いだせると思いますが、ザックリと1010%の観察減価率とします。今回は築16年ですので観察減価率は20%と査定します。

 

よって

 

現価率:(25年 - 16年) ÷ (16年 +    9年)    × (1 - 0.2)    ≒ 0.29

 

・建物価格

 

180,000/㎡ ×   100㎡  ×  0.29  = 5,220,000

 

Step6:評価額の算出

  

競売評価書をみて頂けるとわかるのですが、本来であればこの後、法定地上権の成否を検討します。

法定地上権が成立すれば、建物は地上権付建物となり、成立しなければ場所的利益のある建物となります。

詳細は外に譲りますが、基本的には一括売却されるので、価格の配分が異なるだけで、土地と建物合計の評価は法定地上権の成否に限らず一致します。詳しく知りたい方は下記サイト(wikipedia)を参照してください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%AE%9A%E5%9C%B0%E4%B8%8A%E6%A8%A9

 

計算式:基礎となる価格 × 占有減価修正 × 市場性修正 × 競売市場修正 = 評価額

 

・基礎となる価格:建付地価格と建物価格の合計

 

・占有減価修正:賃借人がいる場合に検討する項目となります。今回は自宅物件ですので1.0とします。

 

・市場性修正:事件事故などの心理的瑕疵を反映します。今回は自宅物件ですので1.0とします。

 

・競売市場性修正:基本0.7です。

 

評価額:(16,171,000円+5,220,000) × 1.0   ×   1.0  ×  0.7           ≒  15,000,000

 

 

注意!

 

評価額は評価人が判断するので試算結果と一致する保証はありません。念のため。